ルーズ・ショット ―ラスト6ヶ月の群像―
ミツは二十歳の誕生日を迎えた。
時計の針が十二時を回ったことに気づかず、
羽月や裕太からのおめでとうメールで日付が変わったことを知った。

林が専門学校の仲間を集めて飲み会を開いてくれた。
四月から入る会社のこと、どこに引っ越そうかという話題、
今のところミツの予定にはない、新しく始まる世界。
ミツは笑って酒を飲んだ。
自分に関係のない話題に相槌をうち、茶化して笑った。

あの解散ライブの日の洋二と、同じような顔でいるのかもしれない、
ミツはそんなことを思った。
何かが始まるわけでもないのに、
何かが終わってしまったことだけは確かに実感できた。
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