異世界転入生
「…お母さんが普通にいるってことは…ココは僕の家?僕が今出てきた部屋は僕の部屋?」

出てきた部屋を見て、少し考える…

「って…え?転入!!?ってことは違う学校!!?」

今更転入という言葉に気が付いたユウは、バタバタと階段を降りて行った

「お母さん!転入ってどういうこと!!!?…え、お父さん!?」

バンッと勢いよくリビングと思われるドアを開ける
そこには、母親と仕事で単身赴任しているはずの父親がいた

「あぁ、そうだったわね~
ユウが寝ている間に帰ってきちゃったから~」
「そうだったなぁ…
やぁ、ユウ久しぶりだね」

久しぶりに見た父親に一瞬動きが止まったものの、ユウはリビングに入っていく

「僕が寝てる間に帰ってきた…って…お父さんが帰ってきたってだけだったら納得出来るけど…全然全く家が違う事は納得出来ないんだけど」
「その答えは簡単よ、引っ越したんだから~」
「いや、簡単じゃないから!僕が寝てる間に引っ越すのもオカシイけど、何より数時間で引っ越し準備して、場所移動して引っ越しの片付けが終わってるのが一番オカシイから!!!」
「あら、その答えも簡単よ」
「…え?」

答えを知っているのだから、そりゃ答えは簡単だろう
しかし、この答えは普通に考えれば、現実的に不可能なのだが…

「魔法を使えば簡単さ」
「…は?」
「だから、魔法よ魔法」
「いや、おかしいでしょ…」

父親がオカシくなったのかと思えば、母親も同じ事を言う
そりゃ魔法を使えば引っ越しなんて一瞬かもしれない…けどそんな事出来るわけない
そんなことが出来たら、引っ越し業者なんていらないわけで…

(魔法なんて、ファンタジーじゃあるまいし…)
「あぁ、ユウは知らないんだったわね~」
「何を?」

呆れたような顔で母親を見れば、母親は特に気にした様子は無くニコニコ笑顔
その笑顔から次に出てくる言葉なんて予想出来ない

「お父さんとお母さんは異世界の人間だったのよ~~」
「…」

ユウは疑いの眼差しを母親に向ける
今まで生きてきた世界の概念を覆すような事を言うのだから
「あ、そうなんだ」で済ませられるわけがない
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