菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
「いや。前に辞めたバイトのコも高校生だったから、別に全然かまわねぇよ。…つーか、お前、高校生だったんだ。俺はてっきり“七五三”の帰りかと思ったよ」


「あんた、言うことがいちいち失礼ねっ。あたしが身長144センチのチビだからバカにしてるんでしょうけど、これでもれっきとした女子高生なんだからっ。天下の女子高生をナメたらケガするよっ」


「なんだよ、“天下のじょしこーせー”って。ワケ分かんね…。ま、とにかく履歴書を用意して出直してくれ。面接はそれからだ」


「分かったっ。ちゃんと履歴書を準備してくるから、逃げるなよっ」


「俺は逃げも隠れもしねぇ、っつーの」


「絶対だよっ。絶対逃げるなよっ」


「はいはい……」


なんか知らないけど、この人はいつもあたしのことを小ばかしてるみたい。だから、あたしもついついムキになって言い返しちゃう。

なんで昨夜出逢ったばかりのこの人に対して、こんなにムキになっちゃうのか、あたし自身にもよく分からなかったんだけど、ただこの人のルックスに魅かれて“ひと目惚れ”しちゃったことだけはまちがいない――――
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