運命のヒト

「……ありがと」


お礼を背中で聞き流し、テレビの前で缶ビールを開ける大我。

そんな彼に、シロが甘ったれ笑顔で近づいていく。


「大我くん。俺もビール飲みたいなぁ」

「は?」

「あぁっ、ダメだっ、手が勝手にっ」

「てめ、冷蔵庫開けんな」

「……ぷっ」


スープを飲みながら、あたしは小さく吹き出してしまう。


変なの。頭の痛くなるような、ふたりのやり取りも、だんだん馴染んできちゃったじゃん。

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