運命のヒト
「……美園」
切ない声が耳元で響いた。
あたしは彼にきつく抱きしめられていた。
その力の強さに圧倒され、拒むことすらできない。
濁流に流されてコントロールを失ったように。そして、それを自ら望んでいたように。胸が震えた。
「あの……」
息が止まるほど抱きしめられながら、ようやく小さな声を出す。
あなた、誰?
いきなり何?
あたしのこと、知ってるの?
けれどそう尋ねる前に、彼の方から発したのは、思いがけない言葉だった。