運命のヒト

「あ……ありがと」


大我との関係は、以前と何も変わらないままだった。


――『本気で大事な女が、他にいるから』


あの言葉の意味を、あたしたちは言うことも尋ねることも決してしない。

知らないふりをする器用さを、あたしだけじゃなく大我もすでに備えていた。


子どもの頃ならそれを、不誠実だと感じただろう。

すべてを太陽の下にさらけ出すことが誠実と信じていた、あの頃は。
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