運命のヒト
混雑するホームに並んで立つと、チハルはウズウズした様子で口を開いた。
「ねぇ、昨日の女の人って、美園の彼氏の奥さんだよね?」
「あー……うん、まぁ」
遠慮なしの直球質問に顔が引きつりそうになる。
「やっぱり不倫だったのかぁ~。派遣先の人?」
「まぁ、一応」
なんで女同士って、いちいちこういうこと聞きたがるんだろう。
しかもチハルの声は周囲にも丸聞こえで、若いサラリーマンがチラチラとこちらを見てくる。
だけど彼女はそんなのお構いなし。