運命のヒト

オーナーさんの視線が、ゆっくりと写真の方へ移った。


「わずかな時間でもそばにいられたことは、奇跡だったと思ってる」

「……奇跡、ですか?」


聞き返したあたしに、彼女は静かな力をこめてうなずく。


「えぇ。
別の言い方をするなら――

運命だったと」


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