運命のヒト

あたしたちは足を踏み入れた。


「俺、教会って初めて」

とりあえず、と言ってシロはパンパンと両手を打った。ドーム型の天井に音が反響した。


「それは神社でしょ」

「あ、そっか」

「ホント適当なんだから」


笑いながらシロが奥へと歩いていく。

そして、祭壇の前に着くとふり返り、

「美園」

入り口に立つあたしを呼んだ。


あたしは一歩一歩、彼の方へ歩いていった。

ふたりの視線はしっかりと結ばれたまま。
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