運命のヒト
いやいや、おかしいでしょ。ここはトキめくとこじゃない。
ただのあいさつだし……一線を越えた翌朝でもあるまいし。
「おはよう。シロもコーヒー飲む?」
「うん。薄めでお願い」
あたしはふたり分のコーヒーを淹れてリビングに運ぶと、昨夜のようにシロと並んでラグマットにと座った。
どうやら猫舌らしいシロは、カップに何度もふぅふぅと息を吹きかける。
ふぅふぅ。
日曜の静かな朝に響くそれは、妙にくすぐったくて、優しい気がした。
「シロ。あのさ」
カップをテーブルに置いて、あたしは言った。
「今日から泊まるところ、アテはあるの?」