桜、雪、あなた
11.『20代』
あたしは
それからひたすら
仕事に
打ち込んだ。
忘れたくて、忘れたくて。
何かをしていないと気落ちしてしまいそうで
「ミオさんってバリバリのキャリアウーマンみたいで素敵ですね」
後輩ちゃんから感心される程
とにかく
仕事に打ち込んだ。
…あの日から
あたしは泣いていない。
ヨウスケくんとも会っていない。
「禁煙したんだ」
周りに嘘をついて
喫煙所にも行かなくなった。
むやみに
ヨウスケくんのお店の前を通る事も止めたし
仕事が終わったらすぐに家へと帰った。
避けて、逃げて
ただ
家に帰るだけの日々
…そして気が付けば
秋が終わって
雪が降る季節へと変わっていた。
その中を駆け抜ける様にヨウスケくんの
誕生日も過ぎていった
確か、その日は珍しく
ともだちとクラブで朝まではしゃぎまくったんだっけ