桜、雪、あなた





「…うっ、うっつ…」









『いつか
本当に心からすきだと
思える相手に出会えたら
いいな』





「…っつ……うっ」










ね、

辛くて
苦しくて

叶う事なんて ないけど



ほら
あたし ちゃんと

恋、
してるじゃない。



出会えてるじゃない。





「うっうっっ…」





大丈夫。
頑張れ あたし



きっと
前に進めるから

ね、
だってあたしがお店移っちゃえば会う事ももう

ないんだから。

だから





「…っひっく…」





今だけは、ね

いっぱい泣いたって
いいんだよね?





「っつー…っ」










あたしは

それからしばらく暗闇の喫煙室の中で泣き続けた。

今までの
溜め込んでいた涙がここに来て一気に溢れ出た。


涙を止めるつもりなんてなかった



声を出して泣いた。





『もう泣かない』

と、
心に決めて

あたしはただひたすら





『最後だから』

と、
泣き続けた



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