桜、雪、あなた



『前に進みたい』

って
思っていたから

仕事に打ち込む事で忘れようって必死になった。



だけど
ヨウスケくんと向き合わなくちゃどうにもならないって

本当はずっと前から気付いていたくせに…










「…まだ……」





恋を覚えたあたしは
いつの間にかこんなにも臆病になっていて

それを
どこかで受け入れて諦めていたあたし。



何も伝えてないくせに

忘れられないって苦しんでるフリばっかりして

逃げてばっかりで…。










「…まだ、いる かな…」





散らばった小物たちをバックに突っ込んだ。



ーずっと周りから言われていた

“派手な子”

って
お気に入りだった呼び名も





『まだ間に合う?』





急いで立ち上がった。



ー自分で勝手に作り上げたプライドも

経験も





『間に合うかな』





そして



ーそんなもの、もうどうだっていい





『お願い』





あたしは



ー…あたしは





『間に合って…ー!』





走り出したー。



ーヨウスケくんが
まだそこにいてくれていると信じて、願った。





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