桜、雪、あなた



“楽しかった”





「………」





ー突然訪れる寂しさ。





…やだ、

やだやだ。



どうして?



だってだって

その言葉を、
その言葉だけを。

ずっと聞きたかったはずなのに





“別れ”





それがあまりにもリアルに
あたしの胸に突き刺さる。










『楽しかった』










…これじゃあ、本当に

もう
二度と

会えないような…





「………」

「………」





…ねぇ
だから?

そんな泣きそうな顔で
ヨウスケくん、

あたしを見るの…?





「…そ、れを 伝えるためだけにわざわざ待っててくれたの…?」

「…いやっ…」










ードクン。





やめてよ



沈黙が、

かじかむ手が、

心が、



いたいよー。









「っ…そう!
それを伝えたくてさっ!」





ヨウスケくん、笑った





「…え?」





拍子抜けするあたし





「まじでごめんなー」










…いたい。





「寒い思いさせて。
体冷えてるだろ?わりーわりー!もー家入んなっ!」





痛いよ





「店移っても頑張れよ!」





心が、ね 痛いの










「じゃーな!!」









ーすると
ヨウスケくんは

あたしに
背を向けた。





「………」





あたしの返事を待たずに
ヨウスケくんは

歩き始めた



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