桜、雪、あなた
『…彼女と結婚するから別れてってどういう事?!』
『そのままの意味だよ。
お前にずっと女いるって今まで言えなかったんだよ』
『待ってよ!意味わかんない!』
『お前との関係をここできちんとしないとまずいって事』
『…何、それ…。』
『…いや、でもお前がそれでもいいならおれもう1回考え直すぜ?』
『………侮辱してるの…?2番目でもOKしてくれるとでも思ってるの…?』
『侮辱はしてねーよ
ただ、まぁ…割り切ってくれるなら…おれは構わないって事』
『ーっつ!それを侮辱してるって言うんじゃない!最低!!』
ー言いたい事はたくさんあった。
でも言わなかった。
言えば言う程惨めになるのがわかっていたから。
『どこが好きだったの?』
ミキちゃんに聞かれた時、
あたしは黙ったまま何も答えられなかった。
だって、あたしは多分
アイツの
“彼女”
と、
いうポジションが欲しかっただけだったから。
…………本当は他に女がいたことだって気付いていたんだ。
好きだから、
振られるのが怖いから、
見て見ぬ振りをしていた訳じゃない。
手に入りそうで入らない 無いものをねだって駄々をこねる子供のように
“彼女”
このポジションが欲しいがためだけにアイツにしがみついていただけ。
…あの時、
あたしが泣いたのは
1番じゃなくて
2番目だったから。
顔も知らない女に負けてしまった
あたしのプライドが許せなかったから。
アイツだけを責める事なんて出来ないってわかっていたのに。
それでも離れようとしなかったあたしだって結局、最低な女。
しょーもない恋愛を繰り返してばかりのだめだめなあたし。
しまいにはここ最近じゃあ、
一体何が
一体どんな感情が
“すき”
って
いうものなのかさえ、わからなくなってしまっている
痛い イタイ
あたし。