桜、雪、あなた



…ヨウスケくん、



「……あ、ありがとう…」



やだ



「一緒に祝えてよかった」



やめてよ。



「もー…。」



あたしは受け取ったCDを見つめたまま、

どうしてもヨウスケくんの顔を見る事が
できなくて。

相変わらず鼓動の速さが気になって

手のひらに置かれたCDから視線を落としたまま、
俯く事しかできなかった。



そんなあたしの様子を不思議に思ったのか
ヨウスケくんは



「ミオちゃんどーした?」

と、
あたしの顔を覗き込む様に言った。



「いや……」



あたしは髪の毛を耳に掛けながら顔を上げた



「…なの?」

「え?」



…ヨウスケくん、
彼女さんは今日の事 ちゃんと知ってるの?



「大丈夫、なの?」



怒ったりしてないの?



「何が?」

「彼女さん、こんな事知ったら怒っちゃうでしょ」



あたしばかだから



「こんな事って?」

「今日のあたしの誕生日の事、ちゃんと知ってるの?」



こんなに優しくされたりしたら



「あー、もちろん。行ってこいだって」



すぐ勘違いしちゃうから、



「…そっか!」



彼女さんの“存在”を
ヨウスケくんから聞かされる事で

それを、あたしが確かめる事で。



「彼女さんとは上手くいってるの?」



もしかしたらあたしはヨウスケくんの中で特別かもしれない。

この先特別になれるかもしれない、なんて



「あー、普通…かな?」



これ以上期待をしてしまわないように、

…だから。



「そっか!よかったぁー!!」



うん、ちゃんと聞けて
よかった




< 42 / 198 >

この作品をシェア

pagetop