桜、雪、あなた
7.『すきで、すきで』



「…しっかし、随分かわいい家着だなぁ」

「えっ!そ、そう?」

「ミオちゃんにしちゃあ以外っつーか」

「あは…あははっ」





ヨウスケくんのお家にて。



『宅飲みだから家着持ってくれば?』



なんて言われちゃったから買っちゃった。

給料日前で金欠だったけど、モコモコのルームウェア一式揃えて
…買っちゃった!

(しかもやたらかわいいヤツ!!)

(何とかってゆーブランドのヤツ!!)



「へー。いっつもそんなん着てるんだ」

「う、うん!まぁね!」



…なんて言ったもののヨウスケくん、ごめん。

すごく嘘。
普段はスエット以外着ないんです。

あたし。

でもさ、少しでも可愛く見られたくて
つい…つい、ね!

(乙女心ってヤツですよ)



「つーか、思いっきり値札見えてるけど。」

「!!へ?! 嘘っ?!」



だー!!!!
やだー!やだー!!

値札は何回もちゃんと取ったか確認したのにっ!



「付いてねぇから。」

「え、え、」

「嘘だし」

「え、え、え、」

「だけど今日下着屋でそれ持ってる所思いっきり見かけマシタ。」

「…!!はぁぁっ?!じゃあそんな意地悪な事聞いてこなくったっていーじゃん!ハゲっ!」

「あぁんっ?!おれハゲてねーだろっ!」

「はんッ!嘘返しじゃい!バカヤロー!!」



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