桜、雪、あなた
…と、
ま、まぁ出鼻をそっこー挫かれたあたしが
(ドンマイあたし!)
ドキドキしながら初めてお邪魔させてもらったヨウスケくんのお部屋は
思っていた以上に、キレイにすっきりとまとめられていて。
インテリアは黒を基調としたオシャレな物ばかりで
それらはどれ1つとっても全てが
ヨウスケくんらしい物ばかりで溢れていた。
…だけど、
『部屋キレイ過ぎ』
初めて
ヨウスケくんのお部屋を見れて嬉しかった、けれど。
その部屋のキレイさが逆に
あたしの心を悲しくさせた。
『きっと前の彼女さんがいつも掃除してくれていたんだろうな』
『まだ別れてからそんなに日も経っていないしキレイで当然、か』
と。
会った事も、見た事さえもなかった彼女さんの面影が。
どうしても
この部屋にはまだしっかりと残っている気がしてしまったからだ。
(やば。ヘコんできたよー…)
「………」
「あれ?ミオちゃん?ごめん、まじ怒った??」
「あっ!違う違う!…やー、てかっ!彼女さんキレイ好きだったんだねっ!」
ここに座ってもいーい?
あ、これお土産のお酒だよー!
と、
あたしは誤魔化しながら
気持ちを悟られない様、気持ちとはまるで正反対の笑顔をヨウスケくんに向けて言った。