あなた色に染まりたい
“困る”って突っぱねても全然聞かないし、挙げ句の果てには“一回デートしてくれたら諦める”とか言い出すし……


無理だっつうの。




「誰?」


「四年の鳴海朔也って人。」


「「マジ!?」」




声をそろえて叫んだのは……美香と悟。




「知ってるの?」


「知ってるも何も……鳴海朔也って、まあまあカッコいいんだけど、かなり手が早いって噂の男じゃん。」


「確かに整った顔してたかも……」


「紗羽、やべぇって。目ぇつけられてんじゃねぇの?」




美香と悟の話を聞いてると……だんだん不安になってきた。




「そんなにヤバい人なの?」


「紗羽は男に興味がなかったから知らないだけで、結構噂になってるからね。てか、何か言われてないの?」


「“一回デートしてくれたら諦める”って言われた。あ、でももちろん無理だって断ったよ。」




あたしの言葉に……みんな深刻そうな顔をしてる。


< 111 / 423 >

この作品をシェア

pagetop