あなた色に染まりたい

「つかさ、なんで美香はその相手が鳴海だって知らなかったんだよ？」


「だって、いつも紗羽が一人になったら、声かけてるみたいだったから。」


「……それ、確信犯じゃねぇか。」




悟と美香が話してるのを聞きながら、隣に座る蓮を見上げると……


凄く怖い表情をしている。


こんな蓮は、見たことがない。




「紗羽が一人で受けてる講義っていくつあんの？」


「二つ。」


「誰かと一緒にいたりしねぇの？」


「一人でいる方が楽だから、いつも一人だよ。」




気を許せるのは、美香と悟しかいないんだよね。




「誰か知ってるやつはいねぇの？」




悟が本気で心配してくれてる。


頭を捻らせて、誰かいないかと考える。


あ……




「麻里子がいるけど、あたし嫌われてるし。」




同じサークルの麻里子には、ずっと避けられてるんだよね。




「そっか、麻里子まだ根に持ってんだ？」


「……」