あなた色に染まりたい
「何を?」


「ほら、あの子、大輝さんのこと狙ってたから。」




麻里子もずっと大輝のことが好きだった。


でもあたしが付き合い始めちゃったから……


それまでは結構仲が良かったのに、完全に無視されるようになってしまった。




「あーそうだったな……あとは誰かいねぇ?」


「あ、晴希!晴希とは二つとも一緒だ。」


「マジ?じゃあ今から呼ぶか。ちゃんと話しといたほうがいいだろ。蓮、いいか?」


「……はい。」




悟は、蓮に断りを入れてから晴希に電話を掛けた。




それからの蓮は、ずっと険しい顔をしたままで、何も言わない。


何を考えているんだろう。


蓮に寄り添って、腕に手を添える。




「蓮?」




あたしの声にハッとしたようにこっちを見て、眉間にシワを寄せながら口を開く。




「何で俺に言わなかったんだよ?」




この声……怒ってる。




「言うほどのことでもないかなって……」


「はぁ……俺、情けねぇ。紗羽のこと、他の男に守らせるなんて。」


「蓮……」




蓮の肩におでこを付けると、蓮はあたしの肩を引き寄せた。




「できるだけ俺から離れんなよ?」


「うん。」


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