あなた色に染まりたい

「俺、報われない恋をしてるからさぁ。」




報われない恋っ！？




「何？人妻でも好きになっちゃったの？」


「まぁ、そんなとこ。」


「え、マジ？」




美香は冗談で聞いたことを肯定されたから、ちょっと焦ってる。


人妻かぁ……


それって、かなり切ないなぁ。




「奪いたいとか思わないの？」


「んー、その人が幸せならいいかなって。だからって諦めらんねぇんだよな。」


「晴希、切ない。まぁ飲め。」




美香と晴希で二人の世界に入ってるし。


でもなんか……




「わかる。そう簡単には諦められないよね。」




つい話に入ってしまった。


形は違うけれど、あたしはずっと大輝のことが忘れられなかったんだから。




「紗羽も辛かったもんね。でも紗羽は蓮くんに出会えて、幸せになれたから良かったよね。」


「うん。」




ホントにそう思う。


蓮に出会っていなかったら、今のあたしは絶対にいないんだから。




「今だから言うけど……あたしさ、紗羽のことホントに心配だった。いつかいなくなるんじゃないかって。悟と二人で必死だったんだからね。」