あなた色に染まりたい
しばらくその場を動けなかった。


フェンスに寄り掛かって座り、大輝に言われたことをずっと考えていた。




最後に抱かれた日……


あの日は三月の終わりで、凄く天気のいい日だった。


それまではずっと寒い日が続いていたから、“やっと春が来たね”なんて言いながら、遊園地に行ったんだ。


いっぱい乗り物に乗って、ソフトクリームを食べて……




そのあと大輝の部屋へ行った。


そこで、抱かれたんだ。


でも……


なんの会話をしたのか、まったく思い出せない。




空を見上げた。




あれ……


あたし、いつからここにいたんだっけ……?


携帯で時間を見ると……




!!!!!




なんだ、これ……


着信が18件?


蓮と美香と悟と晴希の名前でうめつくされていた。




「やば……」




すぐに蓮に電話を掛けながら、屋上をあとにした。


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