あなた色に染まりたい
その言葉に、疑問がわいてくる。




何で蓮は怒らないんだろう……


大輝と二人で出かけたのに……


帰ったら部屋へ行くって言ったくせに、行かなかったのに……




「何で?」


「ん?」


「何で蓮は、いつもそんなに冷静なの?」


「は?」




あたしが逆の立場なら、絶対にそんなに冷静ではいられない。




「あたし、大輝と二人で出かけたんだよ?何で怒らないの?蓮は……あたしが他の男と二人で出かけても平気なの?」




あたしが責められることはあっても、蓮がこんな風に言われるなんておかしい。


どこからどうみても、あたしが悪いんだから。


でも、あまりにも冷静すぎる蓮に不安が募り、つい責めるように言ってしまった。




「……平気なわけねぇだろ!行ってほしくねぇよ……でも紗羽は、会ってちゃんと話しねぇと乗り越えられねぇだろ!?」


「蓮……?」


「前に食堂から連れていかれた時も……今日突然半日連れていかれたって知った時も……、俺、心ん中は嫉妬でいっぱいだったよ」




蓮は頭を抱えながら、最後は吐き捨てるような口調で話した。




蓮の本音は、普通に嫉妬する男の子だった。


それをあたしのために……と抑えてくれていたとも知らずに、あたしは凄くひどいことを言ってしまった。


< 171 / 423 >

この作品をシェア

pagetop