あなた色に染まりたい
ようやく玄関で「はい?」と声を出した。




「俺……蓮」




え!?


ど、どうしよう……




「紗羽?開けて」


「……」


「昨日のこと、怒ってんのか?」




どうしよう……


ほんとなら、すぐにこのドアを開けて、蓮の胸に飛び込みたい。


でも、今は……




「紗羽……誰?」


「ちょっ……」




いつの間にかあたしの後ろに立っていた大輝。


部屋で待っててって言ったのに……




「彼氏?」


「……」


「俺が説明してやる」




大輝はそう言って、玄関の鍵に手をかけた。




「ダ、ダメッ!」




あたしの声と、大輝が鍵を開けたのはほぼ同時で……


ドアが開いたとたん、顔を歪めながら立っている蓮がいた。




「蓮……」


「そういうこと?」


「違う!」




この状況、誤解されてもしょうがないけれど、ホントに何もないということを必死に伝えようと否定する。




「君が紗羽の彼氏?」


「そうですけど……」


「俺は元彼の滝沢大輝。今朝ここに来たけど、何度インターフォンならしても出ねぇから、三年前にもらった合鍵で勝手に開けて入った」


「は?」




あたしが口を開く前に、大輝がこの状況の説明をしてくれた。


でもこの内容に、蓮の顔が怒ってる。


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