あなた色に染まりたい

「そしたら紗羽が苦しそうに唸ってて、熱計ったら39℃あったから看病してた」


「39℃？紗羽、大丈夫？」




心配そうに眉を下げながら顔を覗き込んでくる蓮に、胸がきゅんとする。




「うん……まだ頭がズキズキするけど、大丈夫だよ。蓮、中に入って」


「ん」




蓮が入ってきてスニーカーを脱ぐのを確認してから、奥の部屋へと足を向けた。


さっきと同様、壁を伝いながらフラフラ歩いてると……


突然、体がふわっと浮いた。




「ひゃっ……」




視界に蓮の顔が入ってきて……どうやら、お姫さま抱っこをされたらしい。


そのままベッドまで運ばれ、そーっと寝かされた。




「蓮、ありがと」




布団を掛けてくれ、おでことおでこをくっつけた。


その仕草に、心臓がトクントクンと動き始める。


今の蓮を見る限り、怒ってはいないみたい。




「熱いな……紗羽、薬は？」


「あ、飲んでない。救急箱に入ってると思う」




そう言うと、蓮は救急箱から薬を出した。


錠剤を二粒出してくれたところで、蓮の後方であたしたちの様子をずっと見ていた大輝が口を開いた。




「俺、おかゆ作ったけど……なんか食べてから飲んだほうがいいだろ？」