あなた色に染まりたい
「じゃあ……紗羽さんも、昨日みたいに俺のことを呼んで?」




昨日みたいに?


あたし、何をしちゃったの――?




「もしかして、あたし酔った勢いで変なこと言ったりした?」


「俺のこと“蓮”って……」




“蓮”?


呼び捨てにしたってこと?




「わっ、マジ?ごめんねっ!もう飲み過ぎないようにしなきゃ」




お酒って、ほんとに怖い。


大輝のことも、ペラペラしゃべったりしちゃったのかな。


これは聞けないな。


蓮と歩いていると、なぜか心が穏やかになる。


だからか……


つい、大胆な行動に出てしまった。




「ねぇ、蓮は今日何か予定あるの?」


「特にないけど」


「そうなんだ……じゃあさ、一緒にDVD観ない?一人じゃつまんなくてさ。あっでもそんなことしたら彼女に誤解されるか」




蓮って、凄く人当たりもいいし、イケメンだし……


彼女いそうだもんな。




「俺、彼女いないよ。一緒にDVD鑑賞させてもらおうかな」




予想外の答えに、心が少し踊った気がした。




「ほんと?じゃあ、あたしシャワー浴びたいし、一時間後にうちでいい?」


「ん」




でも――


勢いでこんな約束したのはいいけれど、出会ったばかりの男を家に呼ぶなんて、軽率な行動だったかもしれない。
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