あなた色に染まりたい
蓮はその大きな胸で、あたしを抱き締めてくれた。




なんだろ……


凄く安心する。




よく考えてみると、あたし……男の人に抱き締められるのは、大輝以来だ。


優しく抱いてくれた、あの日以来……




あの日、大輝はいつもと違っていた。


抱いてくれる時はいつも優しかったけれど、あの日は特別優しかった。


今思えば、大輝はその時から、この日を最後にしようと決めていたのかもしれない。


それくらい……


いつもと違っていた。




「あのピンク色を……桜を見ると、あの時の光景が鮮明によみがえってくるの」


「……やっぱり綺麗な涙じゃん?」


「えっ」




予想もしていなかった言葉に、うつむいていた顔をパッとあげた。




「それだけその彼のことを愛してたって証拠じゃん。その涙を否定したら、彼のことを好きだったってことも、否定することになると思うよ……俺は」
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