あなた色に染まりたい
「……蓮って、ほんとは何才?」


「は?」


「だって、18の男が言うセリフとは思えないもん」


「はは、俺は正真正銘の18才だよ」




誰もが魅了してしまうような、やさしい笑みを浮かべながらそう言うけれど……やっぱり年下には、見えない。




「ほんとに?なんか、年上みたい」


「紗羽さんにそう言ってもらえると、対等になれた気がして、すっげぇ嬉しい」




そう言って微笑む蓮は、ほんとに嬉しそうで……言葉に詰まってしまう。




「紗羽さん?」




あたしの心の奥底に、今まで感じたことのない思いが、あふれてくる。




「あたし、そろそろほんとに忘れたい。ねぇ蓮、彼のこと……、忘れさせて?」


「紗羽さん……、支える位置、俺にくれるの?」


「うん、あげる。蓮といたら、あたし、前の自分に戻れる気がする」




三つも年下なのに、それを微塵も感じさせないし、むしろ年上じゃないかって思えてしまう。


大輝と別れてから、男の人とこんな空気になったことがなかった。


こんな気持ちになったことも、なかった。




あたし……今度こそ、忘れられるかもしれない。
< 31 / 423 >

この作品をシェア

pagetop