あなた色に染まりたい
「まあな……、と言いたいとこだけど、そんな相手いねぇし」




そう言った晴希は、視線をそらしてそのまま出口へと歩き始めた。




「ちょっ、晴希!何突然歩き出してんの?」


「いや、なんとなく……」




そんな晴希に小走りでついていく。


自動ドアが開いたとたん、ヒューッと冷たい風が入ってきた。




「寒っ」




思わず着ていたコートをつかんで身を縮めた。


外へ出て辺りを見渡すと


あ……




「蓮っ!」




すぐに蓮の姿を見つけた。


そして、そのまま蓮の前まで駆け寄った。




「紗羽、お疲れ」




満面の笑みでそう言ってくれた蓮に、あたしも自然と笑みがこぼれる。




「迎えに来てくれてありがと」


「いや、俺も早く会いたかったし」




なんて言いながらあたしの頭を撫でてくる蓮に、胸がきゅんとなる。
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