あなた色に染まりたい
「紗羽さん、ゴールデンウィークはどうするの?」
「どうしようかなぁ。何も考えてないよ。三日後からなのにね、はは」
最近は、蓮と外へ出ることが増えたせいか、どこかへ行きたいという気持ちは出てきたけれど……
でも、やっぱりアウトドア派の自分には、まだ戻れていない。
「じゃあさ……俺と、ちょっと遠出しない?」
遠出?
「どこに?」
「んー、温泉」
「え!?温泉!?」
『温泉』という言葉に、思わず大きな声で反応してしまった。
「ん。やっぱ、泊まりとか無理?」
「無理じゃない!温泉行きたい!」
実は温泉が大好きなあたし。
この言葉に飛び付かないわけがない。
「マジ?」
「うん!……あ、でもちょっと待って。今から温泉なんてとれないでしょ?」
ゴールデンウィークは、3日後からなんだよ?
大混雑するこの期間の温泉を、今からとれるわけがない。
なのに……
「それは心配いらない。もうとってあるから」
平然とそう言った蓮。
前から予約してあったってこと?
もしあたしが断ったら、どうするつもりだったんだろう。