あなた色に染まりたい
.



外はすっかり暗くなったけれど、いくつもの窓から漏れる光は辺りを明るくする。


紗羽が勤めている会社は、結構高いビルの中に入っている。


このビルの前で待っている時は、いつも俺だけ取り残されたように、虚しくなるんだ。


俺だけが学生だと、思い知らされる。



はぁー



また、溜め息が出た。


そんな自分に、また溜め息をつこうとした時……




「蓮っ!」




大きく手を振りながら、笑顔でこっちへ向かって走ってくる、愛しい君の姿が視界に飛び込んできた。




ドキンッ――…




やべっ、その笑顔は反則だ。


付き合い始めて一年半も経つけれど、俺は今でも紗羽のどんな表情にも、胸が高鳴る。


それほど、紗羽のことを愛しているんだ――…
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