あなた色に染まりたい
「ねぇ蓮、あたしがモヤモヤしてるのは、体調が悪いからじゃないんだけど」


「は?」




今度は、眉間に皺が寄る。




「だからっ、その袋の中身が気になって、モヤモヤするのっ!」


「はぁ!?」




蓮の表情が、呆れていると言っている。


うぅ……


言わなきゃよかった。




でも、気になるからしょうがないんだもん。




『呆れてるんだろうな』と思いながら、うつむいたまま、視線だけをそっと蓮に向けると……


予想は見事に外れて、今にも吹き出しそうな顔をしていた。




「なぁ紗羽」


「な、なに?」




その表情が何を表しているのかわからず、どこか警戒しながら聞いてしまう。




「花見といえば、なんだと思う?」




花見……?




「……ビール?」




あたしがそう言ったとたん、蓮が思いきり、吹き出した。


その瞬間、その袋の中身が“ビール”だと、悟った。
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