あなた色に染まりたい
「紗羽?」




蓮は首をかしげながら、いまだに袋に視線を止めているあたしの顔を覗き込む。




「どうした?気分悪い?」


「うん、……モヤモヤする」


「モヤモヤ?」


「うん」




袋の中身がわからなくて、モヤモヤするのっ!


というのが、あたしの心の声だったんだけれど……


蓮は足を止めて、あたしの額に自分のそれを押し当ててきた。




「蓮っ!?」


「熱はなさそうなんだけどなぁ。どこがモヤモヤすんの?」


「……」




これって……


思いきり、勘違いされてない?


なんと答えていいのかわからず、顔はうつむいたまま、視線だけを蓮に向ける。




「紗羽?」




なおも心配そうに眉を下げている蓮。


誤解は解いた方が良さそうだ。
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