あなた色に染まりたい
「紗羽?」


「えっ」




桜を見上げながら、ずっと二年前のことを思い出していたら、蓮が心配そうに、あたしの顔を覗き込んできた。




「何考えてんの?」


「ん?」




そのまま視線を蓮に向ける。




「もう……大丈夫、なんだよな?」


「……え、何が?」




蓮の言わんとすることがわからず、首をかしげる。


そんなあたしを、眉を下げて見つめてくる蓮に、あたしの方が心配になってくる。




「蓮?」


「今、何考えてた?」




今……?


あたしの頭の中は……




「二年前の……蓮と出会った頃のこと、だよ?」


「……」




無言のまま、こっちを見つめ返してくる蓮。


なんか……言ってから、恥ずかしくなってきた。
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