あなた色に染まりたい
そんなあたしたちを見て、さっきまで上機嫌だったお兄さんが、少しトーンを落として口を開く。



「実際、こんな俺でも教師やってんだからそれでいいだろ?」


「まあ、だいぶマシになったからな」


「だろ?」



えっ!?


マシ!?


教師なのに!?


これでマシになったの!?


じゃあ、以前の姿って……



「ぷっ」



突然、また蓮が吹き出した。



「な、なにっ!?」


「紗羽、百面相しすぎ」



百面相って……


でも……



「だって、これでマシになったって……その前のお兄さんってどんな姿だったのかなって」



やっぱり、気になるじゃん?



「んー、あれは教師じゃねぇな。ただのチンピラ」



笑いを堪えながらそう言った蓮に、お兄さんは口を尖らせる。
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