あなた色に染まりたい
「チンピラって言うなよ」


「じゃあ、なんなわけ?族辞めてからの兄貴は、どこか中途半端な外見だったよな」


「それ、かなり失礼」



なんて、二人の間で会話がなされているけれど……


今、『族』って言わなかった?


族って、あれのこと?



「……暴走族?」


「は?」



心の中の声が口から出ていたらしく、二人同時にこっちを見た。



「お兄さんって、暴走族だったの?」


「しかも、頭してたしな」


「頭っ!?」



頭って……


総長ってやつじゃないの?


あまりの衝撃に、目を見開いたまま、お兄さんの方を見て固まってしまった。


視線の先にいるお兄さんは、そんなあたしを見て苦笑してる。


その先の言葉を発せずにいると……
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