あなた色に染まりたい
なのに……



「つか、紗羽ちゃん、真っ赤なんだけど」



なんて、意地悪く笑われてしまった。


あーっ、せっかく蓮が流してくれたのにっ!


素直に反応しすぎたっ。


急に恥ずかしくなって、両手で両頬を覆う。


そんなあたしを見て



「あはは、紗羽ちゃんって反応面白すぎ」



と、大爆笑し始めた航くん。


あーもう、この人には敵わない。



「蓮っ、早く行こっ!」



感じ悪いのを承知で、そう言いながら立ち上がった。


そんなあたしを見て、蓮は航くんを軽く睨みながら口を開く。



「兄貴、あんまり紗羽をからかうなよ」


「だって、面白ぇんだもん」



さらにそう付け加えられた。


あーもう、恥ずかしくてこの場にはいられないっ!


そのままスタスタと玄関まで歩いていく。



「おいっ、紗羽、待てって!……じゃあ、兄貴またな」



そう言って、蓮はあたしを追いかけてきた。
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