あなた色に染まりたい
「つか、罰ゲームとか嘘だから。真に受けんなよ?」



あ、嘘だったんだ。


でもきっと、もう『お兄さん』とは呼ばない方がいいんだろうな。



「あ」



そんなことを考えている横で、蓮がふと声を漏らした。



「蓮?」


「そろそろ行かねぇと」



その言葉に時計を見ると、10分をとっくに過ぎていた。



「ほんとだ」


「兄貴、宿泊券は?」


「ああ、そうだったな」



お兄さ……、いやいや、航くんはそう言って、すぐ横にある棚の引き出しから、宿泊券を取り出した。


そして、蓮に手渡しながら……



「あんまりヤりすぎんなよ」



なんて言うから、その意味を理解したとたん、頬がカッと熱くなった。


な、何、この人っ!


でも蓮は扱い慣れているのか



「兄貴じゃあるまいし」



なんて、軽く流していた。
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