あなた色に染まりたい
そんなことを話しながら走っていると、いつの間にか温泉宿に到着していた。


部屋で仲居さんが煎れてくれたお茶を飲んでから、温泉に入った。


何種類もの温泉があって、あっちもこっちもと目移りしながら、ほとんど入り尽くした。


そのせいで少し逆上せてしまい、真っ赤に染まってしまった頬を両手で覆いながら、待ち合わせ場所のロビーへ行くと……


もう既に蓮が待っていて、雑誌を読みながらソファーに腰かけていた。


いつも思うことだけれど、蓮って実年齢よりも大人びて見える。


しかも今は湯上がりだからか、凄く色気があって、襟元から覗く鎖骨にもどきどきしてしまう。


頬に当てていた右手を心臓辺りに移動させ、激しく鳴り響く鼓動を押さえるように、その場所を覆った。


ああ、心臓が壊れそうだ。
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