あなた色に染まりたい
そのままゆっくりと近付いていくと、蓮に辿り着く前に、顔を上げた蓮の視線とあたしのそれが絡んだ。


その瞬間、柔らかい笑みを浮かべた蓮。


ああ、ほんとにカッコイイ。


そのまま立ち上がった蓮は、雑誌を棚に戻してからあたしに近付いてきた。



「紗羽の顔、真っ赤」



ふっと笑いを漏らしながらそう言った蓮は、大きな手でその場所に触れた。



「気持ちいい」



蓮の手がそんなに冷たかった訳じゃないけれど、頬が十分すぎるほど火照っているせいもあって、凄く気持ちよく感じてしまった。


そしてそれをもっと感じていたくて、そのまま蓮の手にあたしの手を添えて、頬に押し付けるようにくっ付けた。



「紗羽?」


「温泉に入りすぎて逆上せちゃった」



あたしの行動に首を傾げた蓮にそう説明すると、「紗羽らしいな」と言って笑われてしまった。
< 397 / 423 >

この作品をシェア

pagetop