あなた色に染まりたい
聞かれる内容はわかっていたから、ここへ歩いてくる間に、その言い訳を考えていた。



でも納得してもらえそうな理由が思いつかなくて……



こうやって黙ることで、抵抗するしかなかった。



だけど……



「紗羽さん……黙るのってズルくね?」



蓮は、あたしの抵抗がわかっていたかのように、痛いところを突いてくる。



「紗羽さん、飲み会大好きじゃん。行きたくないって何?」


「……」


「紗羽さん!」



あたしがなにも答えないから、蓮はイライラしてきたのか、普段は見せないような大きな声を出した。



「嫌なことを思い出しちゃうのっ!」



どうにもならなくて、つい怒り口調で言ってしまった。



そんなあたしを責めると思っていたのに……



「嫌なこと?」



蓮は眉をハの字に曲げ、心配そうな声を出した。



「ごめん……今はこれ以上話したくない。あたし、次講義だから行くね?」



これ以上話していたら、絶対に泣いてしまうって思ったから……



この場から、逃げた。





心の中で、蓮に“ごめん”と謝りながら――…


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