あなた色に染まりたい
「ごめんね……あたしが言葉足らずだったから。」


「じゃあ、話してくれんの?」



蓮はこっちを振り返って、あたしの顔を見上げるように、覗き込んできた。



「うん。でもその前に……あたし、飲み会に行くよ。それで、蓮と一緒に乗り越えたい……蓮は迷惑かもしれないけれど。」



こんなこと頼むなんて、迷惑なことかもしれない……と自信がなくなって、うつむいた。



「俺、紗羽さんのことが迷惑だって思ったことは、一度もねぇよ。俺が好きで紗羽さんの傍にいるんだからな。」



そう言って、いつものようにやさしい笑顔を見せてくれた。



そんな蓮に心が凄くあたたかくなる。


そして……ゆっくりと話し始めた。



「……三年前のこの時期の飲み会で、あたし飲み過ぎたのか、強いお酒を飲んじゃったのか、つぶれちゃって……ていうか、ずっと吐きっぱなしになっちゃって……」


「紗羽さん、強いのに。」



確かに、今のあたしはかなり強い。


最近は気分が悪くなるとか、吐くとか……そういうことは、まったくない。



だから……蓮はビックリしたのか、目を見開く。



「今はね……でもあの頃は、あまり強くなかったの。それで、その時介抱してくれたのが、元彼。結局一晩中一緒にいて、“付き合ってほしい”って言われたんだ。」


< 59 / 423 >

この作品をシェア

pagetop