あなた色に染まりたい
蓮とここに座ってから、あたしの目線はずっと時計の針。



あ……



「蓮、ハッピーバースデー。」




ずっと日付が変わる瞬間を待っていた。




「あ、日付が変わったんだ?紗羽さん、ありがとう。」




そして……



あたしの右側に座っている蓮の左肩に両手を乗せ、少し体重をかけながら体を浮かせて……



頬にチュッとキスをした。




「さ、さわさん!?」




蓮の顔がみるみるうちに赤くなっていく。




「あはは……蓮の顔、凄く真っ赤だ。」



「不意打ちはずりぃー。」



なんて言いながら、ちょっぴり照れている蓮が、凄くかわいい。



「ふふ……」



思わず笑みがこぼれた。





蓮の頬の熱がひいてきた頃、蓮はあたしの首の後ろに腕を回して肩を抱いた。




「紗羽さん、眠くねぇの?」



「ん……凄く眠い。」




ホントはもうまぶたが落ちそうで、限界だった。




「じゃあ寝る?」



「……」



「紗羽さん?」



でも――…



「だって、寝るって言ったら、蓮は帰っちゃうんでしょ?」



「なっ……」




慌てたように声を出した蓮は、また頬を真っ赤に染めた。


< 69 / 423 >

この作品をシェア

pagetop