あなた色に染まりたい
「やべぇ……そんな可愛いこと言うなよ。」



「え……」



「じゃあ、一緒に寝る?」



「いいの?」




蓮はやさしい笑顔でうなずく。



温泉で一緒の布団に入って眠ったあの日から、あの時の蓮の温かさが凄く心地よかったからか、またあの温もりに包まれて眠りたいと、思ってしまうときがあったりする。



それがまた叶うんだと思ったら、無意識に頬が緩んできた。





心が凄く温かくなりながら、そのまま一緒に布団に入った。







好きという感情がなくても、こうやって一緒にいたいって思ったりするものなのかな。



蓮のことが好きとか、蓮と付き合いたいとか……そんなふうに思ったことはない。



でも、蓮がいない生活は考えられないし、傍にいないと、あたしはきっと……ううん、絶対にダメになる。



付き合わないけど、傍にいてほしいなんて……



都合よすぎるよね。



蓮の気持ちを考えれば、そんな図々しいこと、しちゃいけないんだ。





あたしに蓮を手放すことなんて、できるのかな。





蓮の胸に顔をうめながら、静かに眠りに就いた。


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