あなた色に染まりたい
「ダメ?」




あたしの顔を覗き込んできて言うから、微妙に上目遣いになっていて……


凄く、ドキッとする。


それを悟られないように、平静を装いながら口を開いた。




「いいよ。でも、二ヵ月も先だよ?その頃になって、やっぱりやめとけばよかったって思ったりしないの?」


「思わねぇよ。俺、言っただろ?本気だって。たった二ヵ月で想いが変わるわけねぇじゃん。つーか、一生変わんねぇよ。」





この言葉に、蓮の強い想いを感じて胸が熱くなる。


ヤ、ヤバいよ……


嬉しすぎて……


涙が出てきそう。




「紗羽さん?何で泣いてんの?」




え……泣いてる?


頬を触ると、その場所が涙で濡れていた。


やだ、なんで……?


あたしの気持ち、バレちゃうよ。




「紗羽さん……泣きたい時は泣けばいいんだよ。我慢したら、もっと辛くなるから。」




そう言って、蓮の長い指で、やさしく頬の涙を拭ってくれたけれど……


蓮は勘違いしてる。


この涙は辛い涙じゃない。


嬉し涙だもん。




でも今は……


その言葉に、甘えたい――…






そのまま、目の前の大きな胸に身を預けた。


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