羽田くんとうさ子の関係。
「俺も帰って寝たい」
アクビをしながら羽田くんは言った。
「いやいや、働いて下さいよ」
「あーあ、帰りてー。原田ちゃんと一緒に仲良く帰りたいー」
「あたしを巻き込まないで下さい」
羽田くんは駄々をこねる子どものように帰りたいと何度も叫びながら饅頭を食べていた。
この人があたしより4つも年上なんて…。
大人って意外と子どもなのかな。
「じゃあ、あたし帰りまーす」
「お、おう。おしゅかれ」
「……」
饅頭食べながら喋るなよ。
「お先に失礼します」
「あぁ、原田ちゃん。お疲れ様」
「原田ちゃん、あいつ何してた?」
「羽田くんのことですか?羽田くん、椅子に座って饅頭食べながら、“帰りたい”って連呼してました」
「あの馬鹿…」
「まぁ、まぁ…原田ちゃん、じゃあ気をつけてね」
「はい、失礼します」
あたしは羽田くんに怒っている佐伯くんと佐伯くんを宥めている店長に挨拶するとお店を出て、携帯を突きながら自転車に乗ってゆっくり家に向かった。