恋の魔法と甘い罠
俯いたまま小さく息を吐くと、また隣から声が飛んできた。



「似ているから、かな」


「えっ」



その言葉に顔を上げたら、和泉さんは口許にやさしい笑みを浮かべながら視線を向けてきていて。


あたしの瞳を真っ直ぐに見つめてくるから、今度は真面目モードに入っているんだろうなと、そのあとの言葉に耳を傾けた。



「玲夢の涙を見たとき、俺の分も流してくれてんじゃねーかって思ったんだ」


「えっ……」


「俺もちょうど決定打を打たれたときだったしな」



そう言って苦笑する和泉さん。


だけど決定打って……


もしかして、紗羽さんの結婚……かな。



「涙なんてカッコ悪くて流せねぇけどさ。でも……7年半だぞ? そんだけ長く想ってりゃ、泣きたくもなるんだよな」



そこまで話した和泉さんは、3分の1ほど残っていたビールをぐいっと一気に飲み干した。
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