恋の魔法と甘い罠
だけど背中に回された腕でしっかりとホールドされているからあたしの力じゃピクリとも動かなくて。


その上さらにその腕に力を込めてきたから、身動きができなくなってしまった。


そして慎也さんは髪をやさしく撫でながらあたしの頭に顎をちょこんと乗せてようやく口を開いたけれど



「今日は朝まで一緒にいられるから」


「えっ」



それはあたしがずっと言いたくてもはっきりとは言えなかった言葉で。


きっと強く言えばあたしが断れないことを知っている。


だっていつもそうだったから。


慎也さんはあたしの扱い方をちゃんとわかっているんだ。


だけど、別れを口にした今それを言うのはずるくない?


今まではそれを真に受けて流されてしまっていたけれど、別れを決意した今なら冷静にその言葉の意味を考えることができた。
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