恋の魔法と甘い罠
そして会わなかったこの一週間どうしていたか、なんてことをお互いに話していたら、突然、すっ、と戸が開いて、反射的に視線を向ける。


その瞬間、そこに立っている慎也さんと視線が絡み、あたしの心臓は、どきんっ、と大きすぎるほどの音を鳴らした。


すぐにそらして顔を俯かせたけれど、鼓動は鎮まるどころかどくどくと痛いくらいに激しく動き始める。


目の前で和泉さんと慎也さんが何か話しているけれど、その声が耳に届くことはなくて。


今のこの状況に耐えられる自信がなくなってしまった。


どくどくという鼓動と共に、胸の中にはさらに大きく広がっていく不安。


それらをおさめる方法がわからなくて、無意識に手を伸ばして和泉さんの腰辺りのワイシャツをちょびっと摘まむ。
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